女性向け同人センシティブ表現と注意書きのすゝめ
前書き
「表現の自由には責任が伴うということを自覚すべき」
先日こんなツイートがTLを踊っているのに出くわした。
一人ではなく何人もいたので、何が起きているのか反応している人に訊ねてみたところ、「とある同人作品で、非常にセンシティブな要素(現実に発生し死者も出ている事件)が話の核心に含まれていたのに、それを注意書きに明記していなかった」というものだった。
推測するに、おそらく本人に悪気はなく、単に何を注意書きすればいいのか分からなかったのだろう。何がセンシティブな表現に当たるのかは、プロの編集者や出版社ですらさじ加減を間違えることがあるので、素人が判断するのはなおさら難しい。
注意書き――より一般的な言葉でいえばレーティング――は、女性向け同人ジャンルでは、主にトラブル回避のために使われていると理解している。「隠れる」「ワンクッション置く」などといって、実質的にゾーニングに当たる配慮をする例もかなり一般的に見られる。
ここで要求される配慮は、商業の出版物や著作物に求められるものとはやや異なるが、大枠は共通している。
「よくある女性向け同人の注意書きは分かるけど、他にどんなことに気を付ければいいの?」という同好の士のために、センシティブ表現について整理してみたい。
以下は私の個人的な考えだ。センシティブな表現の具体例を挙げているので、事前にご了承いただきたい。また、決してそれらの行為を肯定するものではないことを明記しておく。
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織姫と彦星の物語 -兼続の犯した罪と罰-
「あれ? ヤン・ウェンリーがいるじゃん」
遙か7の直江兼続を初めて見た時、それが偽らざる第一印象だった。
知らない方のためにご説明すると、ヤン・ウェンリーというのは田中芳樹の傑作スペース・オペラ『銀河英雄伝説』シリーズの主人公のひとりだ(Googleの画像検索を見れば私の言いたいことが分かってもらえると思う)。
どうもコーエーテクモの中には銀英伝が大好きなスタッフがいるようで、似たようなジェネリック・ヤンが同じ会社の戦国無双シリーズや、開発を担当したファイアーエムブレム風花雪月にも見られる。いわゆる、オマージュというものだ。
こうしたキャラクターたちに共通なのは、みな当代随一の戦術家であり、知将と呼ばれる存在であることだ。これは直江兼続という歴史人物の通俗的なイメージと一致する。真田幸村が日本一の兵なら、直江兼続は上杉家を支える知謀の将なのだ。
江戸時代の書物によれば、直江という人は文武両道に優れ、日本の古典のみならず中国の漢詩文学にも通じた文化人だった。ゲームでも言っているように書物の蒐集が趣味だったようで、朝鮮出兵で渡海した際に現地の貴重な書籍を持ち帰ったりもしている。ゲームの兼続が教養豊かなのはこれが由来だろう。
政治家としては、農政や治水にも力を入れた。
ゲーム中で描かれたように青苧の栽培を推奨したり、城下町の区割りや用水路の整備などを積極的に行った。現代の米沢のまちの基礎を作ったのは間違いなく彼だ。だから、直江兼続という人は、今でも米沢のひとたちの英雄だ。
――どうしてわざわざこんな話をするのかと言えば、私個人はこうした後世の評価をちょっと斜に構えて見ているからだ。
(※以下兼続ルート(と一部長政ルート)の画像バレ込みのネタバレを含みます)
幸村の「はっさく」について(マシュマロお返事)
本日いただいたマシュマロのお返事です。
続きを読む父殺しとイニシエーション(大和と武蔵)
大和ルートと武蔵ルートについて雑感。ふせったーから転載。
続きを読む遙かなる時空の関ヶ原~龍神の神子が知らない地上のしがらみ~
遙かなる時空の中で7(「遙か7」)兼続ルートの感想記事を書くつもりが、資料用にAmazonした本がしばらく届かないことが分かったので、自分の整理もかねて「遙かなる時空の関ヶ原~龍神の神子が知らない地上のしがらみ~」を書きました。
ゲーム中では――おそらくややこしすぎてイチイチ説明していられないので――詳しく語られない、関ヶ原の戦い前夜の状況や出来事を、ゲーム的・キャラ萌え的に関係ありそうなところを主にピックアップしてまとめています。ゲームをプレイする際のフレーバーとしてご笑覧ください。
※参考文献:『関ヶ原合戦と大坂の陣』、笠谷和比古、吉川弘文館、2007年
※ゲームのプレイヤー向けに素人がまとめているので、不正確な部分もあると思います。大学の授業で使いたい方は↑の本を参照してください。
※大きくネタバレはしていませんが、細かいネタバレはありますのでご注意ください。
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