誰もあなたを責めることはない

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マシュマロありがとうございます。

きちんとお答えした方がよいと考えましたので、こちらで回答させていただきます。

 

 まずは大変な災害にあわれたことにお見舞い申し上げます。

関西は地震の少ない地域です。非常に驚きショックを受けられたこととお察しします。

一日も早く交通・ライフラインが復旧し、あなたと周囲の方々を含め、すべての被災者の方が平穏な生活を取り戻されることを願っています。

 

さて、いただいたご意見について述べさせてください。

私は、このような災害状況において、公演を決行した“興行主の判断”を批判しています。また、この判断を擁護・美化しかねないユーザーの反応を懸念しています。

考えすぎだと思われるかもしれませんが、私はそうは思いません。

これが私の考えです。

 

ひとつ誤解しないでいただきたいのは、興行主のビジネス上の判断の善悪と、芸術作品としての舞台公演の良し悪しは、別の問題のはずだということです。

 

日劇場でスタンディングオベーションをされた方が、理由は様々にしろ、公演内容と演者に拍手を送りたいと考えた、その気持ち自体は否定しません。

大変な状況だったと想像します。どんなに怖くて不安だっただろうかと思います。

そんな中でやっと見られた舞台ですから、きっと色々な感情があったことでしょう。

私も阪神大震災では自宅が倒壊し、東日本大震災では帰宅困難者になりました。

災害にあわれたあなたのお気持ちを理解します。

 

しかし、だからといって、興行主の判断が肯定されるわけではない、と考えます。

 

たとえば、すばらしい内容の公演だったとしても、物販列の混雑対応が不十分で、現場が大混乱に陥ったり、将棋倒し事故が起こったりしたら、それは興行主の運営不備として批判されるべきですよね、ということです。

舞台興行もビジネスです。企業には観客の安全に配慮する義務があります。

 

東日本大震災の際、九段会館の天井が崩落して犠牲者が出るという痛ましい事故が起こりました。今回は結果的に何事もありませんでしたが、このような事故が繰り返される可能性があったと思います。

揺れで取り付けが緩んだ照明機材が落下してきたら、人間はひとたまりもありません。犠牲になったのは観客だったかもしれませんし、出演俳優やスタッフのどなたかだったかもしれません。

 

地震災害は、台風や落雷といった気象災害と異なり、ほぼ事前予測ができませんが、一度大きな地震が起こったら数日中は同規模の余震が発生する可能性が高いことが分かっています。

そのような状況で長距離を――おそらく徒歩で――移動するということは、家屋の倒壊に巻き込まれたり、揺れで転倒したりして怪我をする可能性が高まるということです。

 

事故の予見可能性がある中で公演を決行し、被害を出したとしたら、その責任は興行主にあります。実際、悪天候の中でイベントを決行し、会場周辺で落雷事故が発生した事業者が法的責任を問われたケースもあると聞いています。

私はこのような事態を望みません。きっと誰も望まれないと思います。

これを防ぐためには何をどうするべきだったのか、皆で考える必要があると思います。

 

公演が行われるのかどうかも分からず、公共交通機関がストップして帰れるのかどうかも分からず、余震に怯えながらやっとのことで会場にたどり着き、最後まで何事もなく楽しみにしていた舞台が見られた、そのことに安堵したり感激したりする気持ちは想像できます。

特別な公演だったと思います。色々な意味で忘れられない舞台になったことでしょう。

その大切な思い出についてとやかく言われたくない、という気持ちはよく分かります。

誰も、もちろん私も、それを否定しようとは思いません。

 

しかし、あの日あそこに居たのは、私や私の友人たちだったかもしれません。

誰でも今回のような事態の当事者になりえます。混乱の中、危険にさらされる可能性があります。日本は地震大国です。決して他人事ではないと思っています。

 

きっと様々な考えがあることでしょう。

しかし意見を述べること、そして議論することを止めてはならないと考えます。

 

ご意見ありがとうございました。

 

6/20追記

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まず始めにお伝えしたいのは、あなたは絶対に何も悪くないということです。

 

何も恥じることはないし、あなたを批判するような人がいたらその人は間違っています。被災して大変な状況にある人間に何を言っているんだと思います。

 

興行主の判断は興行主の判断です。責任を負うべきなのは企業です。

観客には何の責任もありません。これだけの災害が起こった直後、訳も分からないままとにかく公演があるらしいという情報を頼りに会場にたどり着いたあなたを、いったい誰が責められるでしょうか?

 

災害中というのはそれくらい異常な状況です。冷静な判断ができなくて当たり前です。

だから自治体や企業のアナウンスには重い責任が生じます。皆、普通はそういった信頼できる相手からの情報を信じて行動するし、またそうするべきだからです。

繰り返しますがあなたは何も悪くありません。公式が、興行主が、安全が確認できた、公演を実施する、と発表したから劇場に足を運んだはずです。

 

被災者はまず自分のことを第一に考えてよいものです。

皆で考える必要があると言いましたが、余震も続いていてライフラインも完全復旧していない今この時点で、今後のことは私のように安全なところからこれを書いているような人間や、何より興行主を始めとする企業、自治体、国が対策を議論するべき問題です。

 

せっかく高いお金を払って、仕事を休んで、やっと見られた公演を嬉しいと思うのは当然です。そう感じることは何も悪いことではありません。

例にも出しましたが、たとえ物販列が運営ミスで崩壊していようが、すばらしい公演に感動するのは自由だからです。

 

興行主が本当に「バカな興行主」だったのかも、正直分からないと思っています。

どちらかというと、このような非常事態の際にどう対応するべきかのマニュアルを整備しておらず、誰が中止の判断をするのかも決まっていないので、とりあえず現場に集まった人間でやれそうだからやる、という判断がなされたのでは、と推測しています。

あのとき大多数の会社員がそうだったように。

 

ただ、結果として、何事もなかったからよいものの、非常に危険な判断をしてしまったのは事実だと思っています。その部分はやはり批判されるべきだと考えます。

しかし、観客や被災者が責められるべき理由はどこにもありません。

 

きっと突然の災害で動揺しておられると思います。あなたは何も悪くないし、配慮されるべきだし、私も含め日本中の人が心配しているということを覚えていてください。できればゆっくり休んで、推しの格好いい姿を思い出してください。

皆あなたのことを思っているはずです。